第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、堀井さんの愛着もひとしおのアイテムをご紹介いただきました。
我家の小さめのスプーンです。ティー、コーヒー、サーヴィングと用途やサイズがいろいろ。
スプーンは直接口に触れるので、口あたりや食べものの味のことを考えると、やはり銀製、スターリング・シルバーなどがおすすめです。少し値段が高めでも、ずっと使い続けるアイテムなので、気に入ったデザインのものを見つけたら買って、大切に扱っていきます。この中には1本ずつ買い足してきたスプーンもあります。
銀製のスプーンでも、私はシンプルで、さり気ないデザインが好きなので、一生懸命、時間をかけて探しました。
写真左下は Mappin & Webb ”アセニアン”シリーズのコーヒー用。我家では朝食の時、ジャムや蜂蜜をサーヴするのに使っています。1本置いた小さいものがデミタス用で、マスタードや柚子胡椒の器に添えています。
“アセニアン”のシリーズは他に、パンにバターを塗るナイフも毎朝使っていますが、見た目より持ち重みするので、イギリスの銀製品の格調を感じるかもしれません。
左上はいつ、どこで買い求めたか、わからなくなってしまったのですが、日本の銀製のもの。極く薄くて繊細、きりっとしたフォルムが綺麗です。オードヴルやデザートで、一口を大事に味わうメニューの時に。
右上は David Mellor 製。アメリカに住んでいる頃、マンハッタンにこのシリーズを扱っているお店があり、少しずつ買い足してきました。柄がやや長めのこのスプーンで、クレーム・カラメルやアイスクリーム、ヨーグルトなどを口へ運びます。柄を持つ感触が他のスプーンと違っていて、FOOD の味わいが、デリケートで特別に感じられるフォルムだと思います。
右下、白いカップ&ソーサ―に添えたスプーンは、横浜元町のシルバー・オオノ製。(STERLING SILVER と裏に刻んであるので、銀の含有率が92.5%)
昔、so-en という雑誌の企画で、スプーンの柄に "Martinique"(西インド諸島の島の名)と文字を彫って入れてもらいました。文字が目に入ると、何となくヴァカンスの気分やマルティニークのラム酒の香りが漂ってくるようで、浮き浮きしてきます。
絵本の主人公 ペチューニアの箱フレームは、妹からの贈りもの。
ぺチューニアの絵本がしまってある我家の本棚の上に置いてみました。
ペチューニアの右には、上からクモがぶらさがっていて、左には蝶が飛んでいます。背景や地面にころがっている小さい木の実など、ワクワクするアイディアがいっぱいです。
妹は自分の家の本棚のために、絵本の主人公の舞台みたいな箱フレームを手作りしていました。ババールやジョージ、ペチューニア達が様々な場面に登場する 15.5cm×12cm×4.5cm の木の箱。手に取って、ちょっと揺り動かしたりもできます。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2020年2月7日 公開
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