第1回
コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。美味しい香りや色、かたち。幸せな食卓の風景が届きました。
焼きたてのブレッチェン、ドイツ風のパンです。
寒い時期はパン生地の発酵に時間がかかるのですが、ゆっくり発酵を待って焼くと、深い粉のコクと香りの、極上のパンに仕上がります。1次発酵は初め室温で1時間くらい、その後少し温めたオーブンの庫内で、2倍の大きさにふくらむまで。仕上げの発酵も、暖かい時期の倍近くかかることもあります。でも冬にこんなにおいしく焼けることを知って、他の作業をしながら発酵の具合をチェックして、ゆっくりじっくり、パンを焼くようになりました。
円形の、枝を交差させたトレーは、パンを冷ます時にちょうどよいアイテムで、昔、パリのカトリーヌ・メミのお店で買いました。連載の第3回の写真3枚目、ナチュラルな色の柳の枝のトレーはもっと大きいサイズですが、こちらのトレーは、しっかりめに焼いたパンや、バスクのテーブルクロスにはよく合う気がします。
フランスの alain milliat のシラー種赤グレープジュース(1000ml)は甘さがあって、酸味と香りがバランスよく、ワインを思わせる澄んだ深い色。
どっしりとした瓶の形と、グレイッシュなこげ茶色に文字がきりっと美しいラベルが魅力的で、テーブルの上に出して見つめるのが嬉しいジュースかもしれません。
デパートの全国銘菓を扱うコーナーで見つけた、冬の和菓子です。
名古屋の亀広良さんの“うすらひ”(薄ら氷)は、厳冬の池一面に張った氷が割れた様を、永裂形に切って表わした意匠が印象に残ります。この菓名と意匠は、小島政二郎氏によるものだそう。
黒砂糖を使って作った大島餡の部分はきめ細かくシックな味わいで、上下の白い部分は食感が新鮮です。
何年か前の節分に、妹からもらった贈りもののパッケージです。
シンプルな白い和菓子の空箱に、ヒイラギとサイカチの枝を麻紐で結え付けてありました。凛とした冬の冷たい空気が感じられ、ドキドキしたのを覚えています。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2019年2月1日 公開
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