
第1回
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コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。アメリカの現代美術作家の作品が、日本の伝統工芸品に繋がるとは・・・!
神田まつやでお蕎麦を食べた後は、いつも神保町駅まで歩きます。途中、何軒か古書店に立ち寄っては、興味のあるジャンルの本を手に取ります。じっくり本を探すのが面白くて、いい本を見つけると嬉しくて。
先週見つけたのが "Ellsworth Kelly: Works on Paper"、写真右の大きな本です。以前、美術館の図書室で見て、いいなぁと欲しくなったので表紙のデザインを記憶していました。
左の "Matisse Kelly | dessins de plantes" は2人の植物のデッサンを対比するように紹介した本で、2002年 Gallimard | Centre Pompidou の出版です。
今回見つけた本は、大版ならではの余白を生かしたレイアウトが素敵です。好きな作品がたくさん掲載されているのですが、写真左の見開き、左側は Study for "Curve I"、右は Untiteled。
右のオレンジ色と黄緑の紙箱には Kelly のカードと封筒が、10種類 各2セットずつ収められています(2004年 MoMA
の製作)。紙質も印刷の色具合もモダンで粋で、私にとっては宝物の箱でした。
額に入れたのは、南仏のマーグ美術館の DERRIÈRE LE MIROIR の見開き。Kelly の作品のこの朱色がかった赤は、持ち上がったニュアンスを感じます。昔、朱赤は好きな色ではなかったはずなのに、今はとても魅かれる色になっています。
CLASKA Gallery & Shop "DO" で買い求めた長崎の凧。初めてこの凧を見た時、Kelly の作品を想いました。我家ではこの凧を絵みたいに飾っています。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2017年9月1日 公開
> 文中の「長崎の凧」:小川凧店 長崎凧 十字 青

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