
第1回
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コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、しっとりとして涼やかな風景をお寄せくださいました。
建築現場の鉄骨や、クレーンが上げ下げする資材に、いつの間にか見入っている自分に気づきます。きちんと設計された建築物は、その骨組も何だか美しい。晴天の日より、薄曇や霧雨の日の早朝に、ぼーっとクレーンの動きを目で追うのが、ワクワクして好きです。
代々木体育館の屋根は、かなり長い期間補修工事をしていて、今現在、青いシートを掛けた部分とチャコールグレーに塗った部分が見えています。
先月、“星耕硝子の仕事20年”展で見つけたグラス。
ほんの少し蜂蜜を混ぜた水みたいな色と、濃いブルーの2色を2個ずつ買いました。
ブルーのガラス器は以前の展覧会でも見ましたが、今回の濃いブルーはドキッとするほど深くシックな印象です。北欧のヴィンテージのガラス器で見る色合いに似ているかもしれません。
底へ向って細く絞られたフォルム、モールのニュアンスもいい具合で、夏にきりっと冷やした日本酒を飲んでみたいと・・・。
新潟県五頭山麓の温泉へ行き、帰りにG・H・エリカーノで買ったいちじくのジャム。阿賀野市産の完熟いちじくと砂糖、レモンだけで仕上げたという説明書きを読んで、思い出しました。
ずっと昔、9月中旬に新潟県岩室温泉を訪れた時、その地域の特産のいちじくを使った椀物に出合いました。吸物の出汁をはった中に、淡い味で煮たいちじく1個が丸のまま、上に練り胡麻と芥子を合わせた胡麻からしを少し落とした一品ですが、いちじくの風味がすばらしく、東京でいつも買い求めるいちじくと違うことにハッとしたのです。
五頭山麓のいちじくジャムも香りが深く、コクがあって格別な風味でした。また買いに行きたくなるようなひと瓶です。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2019年6月7日 公開

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