
第1回
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コラージュ・題字:堀井和子
堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、とても新鮮な、堀井さんの「ピンク色」。
“グマイナー”のバウムヴァレ。新宿タカシマヤ B1F に新しく加わったコーナーで見つけた、スティックタイプのバウムクーヘンです。
“グマイナー”はドイツ シュヴァルツヴァルト地方で1898年創業の老舗洋菓子店だそうで、このバウムクーヘンはキルシュヴァッサーという洋酒をきかせた奥行きのある風味で、サクッときりっとしていながら、しっとり落ち着いた生地が格別でした。
ショーケースに並んでいた、ドイツの伝統的なビスケットの詰め合わせ「テーゲベック」もピンクが印象的で、他で見たことのないデザインがキュートで、次に試してみたくなりました。
先日、代々木公園駅近くの "Camelback" で飲んだカフェラテ、コーヒーの風味とミルクのバランスが好きなタイプで、とてもおいしかった。
そう言えば、我家のダイニングに掛けてある版画のタイトルも Camelback です。アメリカに住んでいた1986年頃、コロンバスアヴェニューのギャラリーで購入したキングスレー・パーカー氏の作品。グレーと白に漉いた和紙に、黒と赤の細い線をエッチングで入れ、ソファを表現しています。
ソファを、ラクダの背から見た眺めに見立てたタイトルが素敵。
新橋のせとうち旬菜館で先月見つけた、愛媛県八幡浜の日向夏の蜂蜜。みかんやレモンの蜂蜜は味わったことがありますが、日向夏は初めて見つけ、どんな風味なのか知りたくてたまらなくなりました。
澄んだ甘さの後に、爽やかな酸味に通じるキュッとした跳ねが、上品な味わい。クセはないのですが、日向夏という個性をちゃんと持っていて、パンやラスクとの相性もいいと思います。
右は、ロジャー・デュボアザンが描く街並や自動車が大好きな“マリーのお人形”という絵本。
洋服でもテーブルクロスでも、ピンク色のものは我家に少ない方かもしれません。ケーキ皿の PÂTISSERIE の文字は、シックなキルシュ漬のさくらんぼみたいな色を指定しました。
“グマイナー”のバウムヴァレのパッケージは、外箱がベビーピンクのストライプ、内箱がコクのあるサンタローザプラムのアイスクリーム系のピンクで、どちらもおいしそうなピンクです。
すごーく久しぶりに“ピンク、いいなぁ”と、この箱を眺めています。
堀井和子
堀井和子さん プロフィール
1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
2019年8月2日 公開

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