私の愛用品 〜お守りみたいなもの〜

CLASKA のスタッフが自身の愛用品の魅力について語るちょっとしたコラム。
第41回は、漆芸家・奥田志郎さんが作った漆器のお重の話です。
 

第41回:その時の自分に合った形で使えるお重

お重

今でも好きで手元に残してある雑誌があります。それが、現在は休刊になってしまった『nid』というライフスタイル誌。その時読んでいた『わが家の良品』という特集で、使い込まれた漆器の写真を見て以降、あまりの素敵さで虜になってしまい、いろいろと調べるように……。

8年前の私にとって漆器は、金額的に気軽に購入できるものではありませんでした。それでも漆器のある素敵な暮らしと丁寧な手仕事に惚れてどうしてもほしくなり、購入したのが漆芸家・奥田志郎さんのお重です。

お重

お重といえばお正月のおせちやお花見など、“イベントがある時に使うもの”という印象が強いのですが、私はそれだけでなく、お弁当箱としても使っています。一段目にご飯とおかずを敷き詰めるだけで、量は十分。職場で食べるお弁当なのに、少し特別な気分にさせてくれるところが好きです。

漆には天然の防腐作用があり、湿気を吸い取ってくれるので、ご飯もふっくらとしたまま、おいしく食べられます。洗いやすくて気軽に使えるところもポイント。普段はしまわれているイメージの強いお重ですが、毎日使って乾燥させないことが一番のお手入れなので、気兼ねなく使っています。

お重

ここ数年、店長を任されたり、引っ越しを何度もしたりと、自分の生活が目まぐるしく変化していたため、毎日お弁当を作る時間が取れずにいました。そんな時、たまたま今年のお正月にこのお重のことを思い出して使ってみると、気分が晴れやかになったんです。「お弁当箱」としてだけではなく、「日常で使う盛り皿」として、その時の自分に合った形で使えるのだなと思い、改めて器に良さに気づきました。

このお重はこれから先何年も使っていくであろうもの。地の色が透けて、徐々に味が出てくるのも楽しみです。その時の自分に合わせて使い方を変え、長く大切に使っていきたいです。


(CLASKA Gallery & Shop “DO” 日本橋店 店長 門中智子さん)

公開日 2022年3月11日
聞き手・写真・文 黒沢友凱

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