堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」

第32回: “iii+ ka のおもちゃ箱展” のシルバーの車、緑のトラック/きっかけの1枚/白い蓮の花

写真・文:堀井和子


6月6日(土)に、 “iii+ ka のおもちゃ箱展” が GALLERY CLASKA でスタートしました。

上は、白木の機体に針金の翼の小型飛行機。

下の一番左は、昔の Peugeot 205、その隣は SAAB 900 のようなフォルムの自動車。

とは言っても、私が描いた車の形から作ったので、実際のデザインとは違っていると思います。

TAMIYA のプラモデル用の塗料のラインナップには、シルバーがいろいろあったので、棚の前に座り込んで、長い間見入って、自分が一番ドキドキしそうなシルバーを選びました。

クーぺと呼んでいる車は、乗っている人を鉛筆で描いています。

白木のまま、ラッカーやニスを塗った上などに、様々なペンやマジック、鉛筆で描いてみて、白木に鉛筆で描くことに。

シルバーに塗った Peugeot や SAAB タイプは、乗っている人を描かない仕上げかたです。

青とシルバーのクレーン車は、建築現場で撮った写真を参考にして、長谷泉さんに針金部分の構造を工夫してもらいました。

ちょっとクールな緑にペイントしたのは、材木を運ぶ timber truck 。

はたらく車は、車体に描き文字を入れてあります。

2008年 Gallery & Shop "DO" で開いた “ガラスとコラージュ箱展” 。

ドーナツやクロス型のガラスの objet を収める箱にコラージュしたのですが、シルバーと黒のペンで描いた自動車のモチーフを使ったものがあります。

東急ハンズでシルバーのペンを数種類買って試し描きをしているうちに、シルバーの線を残して車体を描くのが面白くなりました。

無雑作だったり、自由気ままだったり、飄々としていたり ── 悪戯描きみたいな無心の試し描きが気に入って、とっておいたのが木のフレームにセットした紙片です。

7/7 の T シャツや、今回のおもちゃの車のきっかけになったのが、この1枚かも。

4歳頃まで、世田谷の若林に住んでいて、近くを玉電が走っていました。

空を見上げて指さしていたり、三輪車のサドルの上に立っていたりの写真を見ると、子供の頃から乗りもの、スピードがあって動くものに興味があったのかなと。

40代後半、ドロップハンドルのロードバイク(自転車)に魅かれ、自転車の専門誌を熟読してメーカーやデザインを勉強したり、道路ですれ違う自転車のダウンチューブのロゴを確かめたりしていました。

自動車も自転車も、性能より、フォルムやメタルにペイントした色、道路を走っているカッコよさで、好きなタイプを探していたように思います。

まるで小さい男の子のはまりかたですね。

世田谷時代、母はよく “男のお子さんですか” と声を掛けられたと言います。

きっと夢中で、電車や自動車が走る姿に見入っていたに違いありません。

プランツショップの前で見た、鉢植えの白い蓮の花。

ちょうど開いたところでしょうか。

このトーンの葉の緑と花の白を見ると、夏の暑さが、ふっと去るような気がします。

広い池に群生している蓮の花を朝の時間帯に見るのも好きですが、マンションのベランダで一輪だけというのも、潔くて素敵そうです。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。

CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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