

堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」
写真・文:堀井和子

ロジャー・デュボワザンの絵本 “PETUNIA” の表紙カバーを使ったカレンダー。
2006年版は使い終わった後も、捨てられなくて大事に収ってありました。
他に BABAR や Curious George、Pitschi の絵本から作られたカレンダーも。
我家の紙製品(パッケージや本も含めて)の収蔵量の多さと言ったら……。
さて、カレンダーですが、絵本と違って切り取る決断がし易いので、アクリルのフレームに入れてみました。
上に吊り下げたのは、長谷泉さんの2025年のモビール。
朱赤っぽい赤とシルバーが、何だかお正月らしい雰囲気に感じられます。

アラン・デュカスのフリュイコンフィ トリオダグリュム。
オレンジピール、レモンピール、グレープフルーツピールの砂糖漬にカカオパウダーをまぶし、ショコラ75%ノワールをコーティングしたもので、果物の瑞々しさを残しつつ、極く薄く被ったノワールのほろ苦さ、深いコクが印象に残ります。
ショコラティエでは、たいていダブレットを選ぶのですが、2026年がスタートする1月に、ちょっと贅沢なコンフィズリーを楽しむことに。
オランジェットと言うと、思い浮かべるのは、南仏アンティーヴのショコラティエで買ったひと袋。
箱入りではなく、簡単な袋入りでしたが、オレンジピールの奥行きのある味と、ショコラ・ノワールのキレのよさに、ハッとしました。
オレンジの果樹園の小さなホテルに泊まって、朝食にマーマレードではなく、クラッシュして煮込んだオレンジのジャムをいただいたりした後でしたので、その記憶が特別なのかもしれません。

渡辺紳一郎さん著の “巴里風物誌” は、佐野繁次郎さんが、カット、絵、表紙装幀画を手がけています。
自分が生まれた頃に出版された本ですが、今、ページを開いても、ものすごく新鮮でカッコいい仕立ての一冊です。
“佐野繁次郎さんの画集とも言える” という書評を読んだことがありますが、絵は大きいスペースで大胆に、そして、ひとつひとつに “サン・ラザアル駅”、 “リュクサンブウル公園 陽なたぼっこ” などのタイトルが、極く細い自体で添えられているレイアウトも、粋だなぁと。
目次は9ページに渡って、上の方の1/5くらいのスペースにレイアウトされているのですが、タイトルの言葉も、表記も、余白も、溜息をもらすほど美しい。

見開きに1つのシーンという構成も多く、佐野さんの墨色の線の躍動感に圧倒されます。
私が大学の研修旅行で滞在したパリの街角の情景や音の記憶も、ふっと繋がる気がして、いつも見入ってしまう、大好きな本です。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」
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