
HAUのたね
写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume
先月、早くも来春夏の展示会が終わりました。
頭の中では2026の夏は終了、笑。
今は展示会のオーダーをまとめたり、サンプルの修正や工場さんに生産の依頼をしたりと、業務をこなしながら、次の新作の企画に入るまでの束の間の時間を楽しんでいます。
次のターンに入るまでの区切りの時期。
学校でいうところの期末試験が終わったような感覚に近いのかもしれません。
そんな年に2回訪れるこの時期に決まってやること、それは机周りの整理整頓です。
日々溜まっていく書類を必要なものとそうでないものとで分けたり、とりあえずドサっと積み上げてしまっている資料をファイリングしたりする作業が、私の中では大事な儀式のようなものになっています。
服をデザインすることにおいて大事にしていること、それは「想像力を磨くことと、良い情報をキャッチすること」。
整理整頓という一見シンプルなことですが、このあたり前の作業をすることで不思議と頭の中がリセットされ、清々しい気持ちで次のシーズンの仕事に取り掛かれることが、すごく心地良いのです。
と言いつつも、家の一部には見て見ぬ振りの場所もありますが....こちらは今年の大掃除の課題とすることにします、笑。
ファイルの下には最近IKEAで買ったPC用の台を設置。 引き出しも付いていてその下の隙間も有効活用でき、机周りがグッと使いやすくなりました。
私にとっては普段着る機会があまりないシャツですが、秋冬には出番がぐっと増えます。
タートルネックのインナーを重ねると、首元が自然にまとまる感じが好きだからでしょうか。
シャツ1枚で着るよりもなんだかしっくりくるんです。
そんな重ね着を想い描きながら作ったのが short shirts "light"。
コットンシルクの生地で、肌寒くなってきた頃からまるで薄手のジャケットのようにさらっと気軽に羽織れるシャツです。
素材は、経(タテ)糸にシルク、緯(ヨコ)糸にリサイクルコットンで織り成す、シルクコットンビエラ。
コットンは、縫製工場より回収した裁断くずを細かくし、それをブレンドした再生糸を使用。
環境にやさしい素材は、この生地の素朴な表情からも垣間見れます。
ポイントは、小さな襟とフロントの大きなポケット。
ちょこんとあしらった襟とメンズライクなポケットのバランスによって、雰囲気のあるシャツジャケットに仕上がりました。
気温によっては半袖に重ねたり、涼しくなってきたら長袖やタートルネックを重ねたりと、気温がなかなか読めない季節の間に調整の効く一着。
ニットベストやサロペットのインナーとしてもオススメです。
ボトムスは pants "cotton wool chino"。 定番のボトムスに新色ブラックが仲間入り。
深みのあるサックスと秋らしいコーヒーブラウンの2色展開。 製品染めならではのこなれた表情もまた魅力。
着用しているタートルネックは turtleneck "washable wool"。 ニュージーランド産のウール天竺で作った肌触りの優しいインナーです。
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◎ short shirts "light"
◎ turtleneck "washable wool"
◎ pants "cotton wool chino"
*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。
Profile
藁谷真生 Mao Waragai
デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes
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