

HAUのたね
写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume
いよいよ今年も残すところあと僅か。
明日からお正月休みに入る方も多いのではないでしょうか?
年末ということで、今回はこの一年の振り返りを交えながら連載を綴らせていただこうと思います。
大きな転機は、今年の春からスタートした、クラスカが発信する新たなコンセプトブランド “āta” の企画に携わらせていただいたことです。
基本的には天然素材が好きだけれど、ナチュラルだけではない服の表現方法、また、昨今の原料費高騰という社会的課題に対して何か新しいことができないか、という会社としての試みが自分の中の可能性を広げてくれました。
デザイン面では、“モード” という新たに挑戦するテイストでもあったのですが、クラスカに足を運んで下さるお客様だったらどのように着こなして下さるだろうか? はたまた、シンプルとモードのちょうど良い塩梅、お客様や自分自身が求めている落としどころを模索しながら、丁寧に企画を進めていきました。
来年は、HAU と āta 、それぞれのテイストの良さを生かしながらも、更に共感とわくわくとした期待を感じていただける服をお届けできればと思っています。
話は変わって先日、都内を離れた里山風景がとてもきれいな場所へ、来春のルックの撮影にチームで行ってきました。
スタジオオーナーのご好意で、近くの畑でも撮影ができないかをご近所の方に掛け合って下さったり、すれ違うか方々から撮影を珍しがられ、「今の若い人達はこういうのが良いんだね〜」などと話しかけられたりと(笑)、人と人との繋がり、そして地域コミュニティーの温かさにも癒された最高の撮影となりました。
そんなルックのお披露目は来年3月頃を予定していますのでそちらもお楽しみにー。
では、ここからグッと寒さも増して参りますが、体調に気をつけながらも、皆さま良いお年をお迎えくださいませ!!
撮影当日。 朝はとっても寒かったのですが、日中は朗らかな陽気に恵まれました。 何よりモデルさんにとって良かった〜。
冬ならではのざっくりとしたローゲージニットは、北米のロッキー山脈で生育されたメリノウールの糸によって編み立てられた一枚。
糸一本一本がふっくらと柔らかく仕上がるように紡績することで、エアリーで肌触りの良いニットが出来上がりました。
ローゲージニットというと着用時の重さが気になりますが、空気を含んだ糸のお陰で着心地は軽く、着ると見た目以上の温かさ。
生産は、群馬県にあるホールガーメント工場に依頼し、丁寧な仕立ての国産にもこだわりました。
一見シンプルなデザインですが、適度に詰まった首元の開き具合、そして見頃や袖の部分が程よく膨らむよう工夫した細かなシルエットの見え方など、着てみるとなるほど!と感じる安心感と発見をプラス。
今回は、インナーに blouse "ruffled" を重ねて首回りがポイントの華やかなコーディネートをご提案。
ブラウスの襟は表に出さず、ニットの首元に収まるようにしても色のコントラストでメリハリのある着こなしになりますよ。
シンプルなコーディネートもブラウスを重ねることでグッと新鮮に。
もう一色はニュアンスのあるベージュ。 ライトグレーにも近いなんとも言えない雰囲気のある色。
キレイ目なパンツからカジュアルなものまで相性の良いニットです。
<< 今回紹介したアイテム >>
◎ knit tops "roxy"
◎ blouse "ruffled"
◎ pants "cotton wool chino"
*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。

Profile
藁谷真生 Mao Waragai
デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes
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