堀井和子さんの「いいもの、好きなもの」
写真・文:堀井和子

濃いブラウンの地で、足首の上に白い文字が入ったソックスを雑誌で見ました。
気になってインターネットでチェックしましたが、やはり実物を見たくなって、靴下専門店へ。
一軒目ではその文字入りソックスがなく、他の様々なデザインに見入っているうちに真剣に選んで、黒のストライプと、こげ茶色の無地のソックスを買って帰りました。
別の日、二軒目のショップで、文字入りソックス(文字の違いで2タイプ、色のバリエーションが4〜5種類)を見ることができて、グレー地に濃いブルーの文字入りを購入。
普段のソックスは、グレー系か白の無地を選んでいましたが、靴下専門店の数多くのデザインの中から、何だか魅かれるソックスを見つけるのが面白くなり、自分が持っている秋冬のアイテムと組み合わせてみたくなったのです。
濃いブラウンの長袖Tシャツとチャコールっぽいダークグレーのデニムには、こげ茶色。
グレーのタートルネックセーターとグレーのデニムスカートには、グレー地に文字入り。
黒のセーターと黒のスカートには、きりっとした黒のストライプ。
秋冬の普段着の組み合わせが、ソックスのおかげで、ワクワクしてきました。
西武池袋線の Laview に一度乗ってみたいなぁと、ずっと思っていました。
建築家妹島和世氏監修の、曲線が印象的なアルミの車体、そのシルバーの色と、シートの黄色が並ぶデザインは、画像でもかなり魅力的でしたし、大きなガラス面越しに見る景色にも興味がありました。
10月の平日、思い切って、池袋から飯能まで乗ってみることに。
シルバーの丸みのある車体は、走るデザインとしてとってもカッコイイ。
私は正面より、横からのアングルが好きです。
シートや車内の黄色は、画像ではレモンイエローみたいな明るい色に見えましたが、実際は暖かみがあって、押さえた(少し黒を混ぜたような)色味で、ハッとしました。
ムーミンのテーマパーク目的ではなかったので、飯能の駅でコーヒーを飲んで引き返して、また池袋へ。
入間付近で見た、ススキの群れと、飛行場に待機している飛行機に、心が持ち上がった、素敵な乘り鉄時間でした。
10月後半は、まだ穂先が開いていなくて、金色の線が四方八方へ向かう様子が美しい。
都心の狭い小路で、こんなのびやかなススキを毎年見ることができるなんて。
5年前と比べると株が増えたのか、ススキの威勢よさが嬉しく感じられます。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載
> 堀井和子さんの「いいもの」のファイル (*CLASKA発のWEBマガジン「OIL MAGAZINE」リンクします)
> 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」
前の回を見る <