大人のためのステーショナリーブランド

TOUCH & FLOW のダイアリー

毎年の恒例となった TOUCH & FLOW のダイアリー。今年もお届けします!

2017年の販売開始当初に、株式会社デザインフィルの本社オフィス(東京・恵比寿)を訪ね、クリエイティブセンター プロダクトグループ マネージャーの下田洋一さんにお話を伺った際の様子とともに2023年版ダイアリーをご紹介します。

ほとんどのオリジナル製品を下田さんご自身が、プロダクトデザインから制作まで一貫して担当されています。

大人のためのステーショナリーブランド "TOUCH & FLOW"

TOUCH & FLOW 第1号店の湘南T-SITE店。
ほか、東急プラザ銀座店・日本橋高島屋S.C.店も。

― TOUCH & FLOW というブランドが生まれたきっかけや経緯を教えてください。

男女を問わず使いたくなる、シンプルで上質な文具を

下田さん(以下、下田) 僕たちデザインフィルという会社は、1950年に創業した「ミドリ」を前身として長らく、手紙やノート、ダイアリーなど、紙を中心とした文具づくりを行ってきました。文具は若い女性をターゲットにすることが多いのですが、「文化的なよろずや」を旗印とした文具店で「大人向けのシンプルなデザインで、男女を問わないオリジナルラインをつくりたい」と TOUCH & FLOW が立ち上がったんです。

2014年、"TOUCH & FLOW" 始動

下田 紙にペン先が触れて(touch)、インクが軌跡を描く(flow)。何かに触れ(touch)、見聞きして、心が動いたら生み出そう(flow)。その、創造の瞬間を TOUCH & FLOW という名前にしました。それに、このデジタルの時代だからこそ、手を使って書くときに触れる質感(touch)の良さにこだわりたい。「百聞は一見に如かず」と言いますが、一見してもわからず、触ってみて初めてわかる感動を文具に込めたいと考えています。

"Write the world! (世界を書こう!)"

下田 少々大仰に聞こえるかも知れませんが、ぼくたちのキャッチコピーです。"world" は決して遠い世界のことではなく、あなた自身の世界。身の回りの暮らしであり、かけがえのない日常のことです。心が感じたことを思うままに書き記し、新しいひらめきや発見を得たりしながら、書くことを楽しんでいただけたらと思います。

ロゴマークはコマ

下田 僕自身、コマが大好きで(笑)! コマって昔からある遊び道具で、多くの人が親しんできたと思いますが、古くはエジプトで、なんと紀元前1500年頃のコマが発見されているんです。そんな時代から現代のジャイロスコープ等に至るまで、連綿と、様々な素材や形に姿を変えながらも無くならずに続いているなんて!クラシックでもあり、モダンでもある存在。そして純粋に、回転する彫刻、オブジェとしても美しくてチャーミング。

下田 回り終わる間際に揺れて転ぶ姿なんかも、チャーミング。・・・知っていますか?コマがまっすぐ立って回転しているとき、まるで静止しているように見えるのを「コマが眠る」、回り終わる間際に揺れることを「コマが笑う」と言うんです。なんだか人間みたいで、そんなところも含めて好きなんです。だから、「コマのような文具を作りたい」という想いを込めて、ブランドのシンボルをコマに決めました。

― ここからぜひ、製品の魅力について伺いたいと思います。

自然から見出された、美しい色使い

― 美しくも、あまり文具で見かけない、意外性のある色使いが新鮮ですね。

下田 量販店などに行くと、あらゆる物の彩度が高く、競い合っているように見えます。そうではなく、TOUCH & FLOW ではややスモーキーで落ち着いた色使いと、ムードを大切にしたいと思いました。たとえば、北欧を代表する陶芸家 ベルント・フリーベリの作品のような、森や湖や大地を思わせる色彩です。自然の中から見出された色は、控えめながらもハッとさせられますね。

携帯のしやすさと書きごたえ、その両方を備えたB6サイズ

― ほぼすべての製品がB6サイズ(W128×H182mm)に統一されている、こだわりの理由は何でしょうか。

下田 B6サイズというのは、よくあるA5サイズよりも小さく、携帯しやすい。かといってこれより小さいA6サイズになると、窮屈で書きごたえがない。その間のちょうどいいサイズです。ダイアリーであればB6サイズが多いので、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

― いよいよここから、ラインナップのご紹介です。

今日という1日を感じ、発見する "TODAY"
月間ダイアリー/月間+メモダイアリー/週間ダイアリー

これだけでいい。ミニマルな月間ダイアリー

下田 分刻みの予定を管理しながら仕事をしている人でない限り、ダイアリーは1ヵ月を俯瞰するカレンダーのような月間ブロックタイプで十分という人も多いはずです。これは、そんな方のためのダイアリー。軽くて薄い、たったの32ページのダイアリーです。B6サイズのノートに挟み、組み合わせて使うときにぴったりと収まるよう、横幅が若干スリムになっています。

下田 1日1マス、実にシンプルです。左端の縦軸に月内の重要事項を書いておいたり、下段にはメモやTo Doなどを。巻頭には年間スケジュールページもあります。1ヵ月を管理しながら、ときどき1年を見渡す。中紙は、書きごこちのよいオリジナルの紙を使用しました。

ミニマルなダイアリーに+α。月間+メモダイアリー

下田 月間ブロックとメモページが見開きで交互になった「月間+メモダイアリー」。B6サイズ。32枚、64ページ。携帯のしやすさと書き込みのしやすさを兼ね備えた、スマートなダイアリーです。

下田 月間ブロックページをめくると、見開きの月間メモページ。毎月の予定とメモが背中合わせになっていて、とても便利です。月間メモページには、アイディアメモやスケッチなどのほか、「今日のうれしかったこと」など一行日記をつけるのもおすすめ。別でしっかりとした日記を書くための、備忘録として使ってもよいでしょう。

下田 月間メモページの罫線は、よく見ていただくとページの横幅の中央に隙間が開いています。2段組みにしても使いやすく、機能的です。さらに、巻末にもフリーのメモが6ページ。スケジュール帳はミニマルにしたいけれど、メモスペースもちゃんと欲しい、という欲張りな方にぴったりです。

1日1日が浮かび上がる、週間ダイアリー

下田 こちらは週間ダイアリー(レフト式)。80枚、160ページあります。

※2022年現在の仕様に栞はついておりません。

下田 見開きの左側がスケジュール。午前中/午後(13時〜)/アフターファイブ(18時〜)で列を分けています。ごくシンプルで落ち着いたフォーマットにしたかったので、赤日(日曜・祝日)にもあえて薄いチャコールグレーを敷くだけに。日を目立たせるのではなく、書いた文字がいちばん目立つようにしました。

下田 日付表記のまわりには余白を設けて、その日の重要事項などを書けるようにしています。そこに、月の満ち欠けアイコンを添えています。かつて、月の満ち欠けを歌に詠んだり、暦を数えたりしたように、「今日」という日や季節を感じるためのアイコンです。

下田 ニュートラルに整理したフォーマットの中、右端の「TODAY IS / WAS...」の欄は、他に無い個性、あるいはささやかなユーモアになったかも知れません。ミニマムな日記として、何かひとことでも残すだけでその日が活き活きと思い出されます。別でしっかりとした日記をつけるための、備忘録として使ってもよいでしょう。

※2022年現在の仕様に栞はついておりません。

下田 昨日を振り返り、今日を記録し、明日を展望する。そんな、大切な1日1日のためのダイアリーです。

※2022年現在の仕様に栞はついておりません。

下田 他にも、各種付録がついています。透明シールは1色60枚ずつ、3色あります。赤・青・黄を週に1枚ずつ使っても余るくらいです。コマのシールはスペシャルな日にどうぞ。

下田 色のシールは、日付の上に貼ると透けて、視認性が上がります。この色合いを決めるために何度も試行錯誤をしました。

下田 それから、世界の時差表、手紙やグリーティングカードを書くときのヒントになる外国語の挨拶集、月齢や二十四節気に関する解説、今どきFAX番号欄もあるアドレス帳、などの付録ページも付けました。今はスマートフォンですぐに調べられることばかりですが、こうして見開きの紙面でゆったり眺めるというのが、かえってロマンチックで気に入っています。

最後に

下田 ダイアリーはあくまで道具なので、新品の澄まし顔よりも、書き込まれた様子がいちばん美しいと思っています。だから、どんどん自由な気持ちで書いていただきたいです。

― 今回、下田さんが実際に使われているノートやダイアリーを見せていただき、仰る通り、何かを書き込まれた紙面は命を吹き込まれたように活き活きとしていてすごく素敵で、とてもワクワクしました。CLASKA ONLINE SHOP をご覧の皆さんにも、ぜひ楽しんでお役立ていただければ嬉しいです。下田さん、ありがとうございました!

※CLASKA Gallery & Shop "DO" 各店店頭でのお取り扱い状況は、店舗によって異なります。最寄りの店舗にお問い合わせください。

2020年11月3日 公開
取材・文:CLASKA ONLINE SHOP 速水真理