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CLASKA Restaurant "kiokuh" シェフ 湯澤秀充の

今夜飲みたい日本ワイン、一緒に食べたいこの3皿

日本の四季折々の味覚を盛り込んだ軽やかで美しい
フレンチベースの料理を楽しめる CLASKA Restaurant "kiokuh"(キオク)。
季節ごとに変わるコース料理が好評ですが、実はアラカルトも精鋭揃い。
そして、ワインセラーにはマニア垂涎の日本ワインがずらり。
本連載では、毎回1本の日本ワインをチョイスし、
共に味わいたいアラカルト料理3品を
アミューズ・前菜・メインのコース仕立てで紹介。
kiokuh のツウな楽しみ方、提案します。

 

第9回:大切な日に、ビッグヴィンテージが生んだ甲州ワインを

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今回のワイン

「toriivilla blanc cuvee Yuka 2004」(鳥居平今村)/山梨県

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Profile
CLASKA Restaurant "kiokuh" シェフ
湯澤秀充(ゆざわ・ひでみつ)


1981年東京都生まれ。料理学校を卒業後、都内でフランス料理とスペイン料理を学び26歳で単身渡仏。ミシュラン1つ星 "Le Jardin des Remparts" にて外国人初となる肉料理のセクションシェフを務める傍ら、デザートやパンなども手掛ける。2年間をブルゴーニュ地方で過ごした後帰国。ミシュラン2つ星の銀座 "Beige Alain Ducasse Tokyo" を経て CLASKA 料理長に就任。2016年、料理人コンペティション「RED U-35」にてシルバーエッグ入選。

CLASKA Restaurant "kiokuh"

シェフ 湯澤秀充による、日本の四季折々の味覚を盛り込んだフレンチベースの軽やかで美しいお料理をご提供します。毎朝7:30からのブレックファストに始まりディナータイムまで、時間帯に応じたメニューをご用意。コースメニューは、全7品6,000円+税、全5品のライトコース(4,000円+税)も。

今回の料理

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アミューズ:「スパイシーな茄子のキャヴィア仕立て」/1400円+税

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前菜:「リードヴォーのムニエルと沢蟹のビスク」/2400円+税

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メイン:「スズキの鱗焼き サザエとトウモロコシのリゾットとその肝のソース」/2800円+税

※写真はすべて2名分となります。

食材の個性を包み込む、大らかなワイン

────今回は、日本固有品種である「甲州」を100%使った白ワイン。第4回で紹介をした「共栄堂」のワインも甲州種を100%使ったもので、少し個性的なワインでしたね。今回は、どんな個性を持ったワインなのでしょうか?

湯澤:味の美味しさはもちろんですが、誕生した背景がとても魅力的なワインです。鳥居平今村の3代目当主・今村英勇さんのお孫さんが誕生した2004年に造られたのですが、その年は雨が少なく40日間にわたって真夏日が続いた記録破りの猛暑。結果、近年稀にみるビッグヴィンテージ(当たり年)となりました。結果、長期熟成にも耐え、年を重ねるごとに進化していく、ポテンシャルの高いワインが生まれたんです。

────「toriivilla blanc cuvee Yuka 2004」という名称の「Yuka」は、お孫さんの名前なんですね。

湯澤:そうですね。お孫さんが大人になった頃、例えば50年後にも美味しく飲めるようにと、毎年少量ずつしか出荷されません。素敵な話ですよね。

────どのような味わいのワインなのでしょう?

湯澤:口当たりは滑らかで、上質なシャルドネのようなリッチな印象のワインです。こってりとしたコクがあって、蜂蜜やリンゴ、シェリー酒のような甘い香りも特徴。「甲州らしさ」への期待を、いい意味で裏切ってくれるワインだと思います。どうぞ、まずは飲んでみてください。

────うわぁ、これは飲みごたえがありますね。甲州ワインは、ほろ苦さや酸味が特徴というイメージがありましたが、新たな一面を発見した気分です。

湯澤:同じブドウ品種でも、育った畑によって味わいが異なってくるのが、ワインの面白さですね。さて、早速一皿目をどうぞ。アミューズは「スパイシーな茄子のキャヴィア仕立て」です。

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────いただきます。「ナスのキャビア」といえば、南仏プロヴァンス地方の定番料理として知られていますね。

湯澤:そうですね。7種類のスパイスを調合した「ラスエルハヌート」というチュニジアのミックススパイスをナスに混ぜて、仕上げにヘーゼルナッツやクミンを使ってつくった「デュカ」というシーズニングソルトを振り掛けています。そのまま食べていただいても良いですし、横に添えたパンコントマテ(パンにニンニクと完熟トマトをこすりつけ、オリーブオイルと塩を振りかけたもの)にのせて食べていただいていても、また違った味わいになりますよ。

────スパイスを豊富に使っているだけあって、とてもスパイシーですね。口の中に残るピリッとした余韻を、ワインの甘味やまろやかさが優しく包んでくれる感じです。

湯澤:この料理には、一緒に味わうことで料理のスパイシーさを助長するというよりは、包み込む、あるいは中和してくれるワインが合うと思うんです。今回のワインは、まさにそういうタイプなんですよね。少し話はそれますが、昔から流れている某カレールーのTV コマーシャルで、リンゴに蜂蜜を垂らすシーンがあるじゃないですか。

────はい。カレーにリンゴに蜂蜜。子ども心に、妙に印象に残るシーンでした(笑)。

湯澤:スパイシーなものと、リンゴ、蜂蜜って、相性がいいんですよ。そう考えると、このワインがこの料理に合わない理由がないわけで。

────なるほど! そうですね。パンコントマテの酸味もワインに良く合いますね。とても満足度の高い一皿でした。

湯澤:さて、次は前菜です。「リードヴォーのムニエルと沢蟹のビスク」をどうぞ。

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────これは……かなりインパクトのある見た目ですね。沢蟹は、このままパリッと食べちゃっていいんですよね?

湯澤:はい(笑)。高温で素揚げしているので、丸ごと食べていただけますよ。

────結構しっかりとした旨味があるんですね。美味しいです。「ビスク」というのはこのスープのことですか?

湯澤:そうですね。沢蟹をしっかりと焼いてコニャックで香りづけしたものに、トマトや香味野菜を加えて、それを鶏の出汁の中で潰しながら煮詰めました。仕上げに生クリームを加えています。

────まるで、カニみそを飲んでいるかのような濃厚さですね。このお肉も、今まで食べたことがないくらい滑らかで、ふわっとした食感です。

湯澤:「リードヴォー」というのは仔牛の胸腺で、牛の健康状態によってはついてないこともある、とても希少な部位です。素材の旨味をシンプルに味わえるよう、ムニエルにしました。ミルキーで濃厚な味わいが特徴で、フランスのレストランでは、しっかりした味わいのシャルドネを合わせることが多い印象ですね。

────ちなみに……沢蟹を合わせた理由は何かありますか?

湯澤:甲殻類の旨味が、リートヴォーの旨味と相性がいいんです。フランス料理の世界で、“リードヴォーとザリガニ”という定番の組み合わせがあるのですが、それを日本らしい素材で出来ないだろうか? と考え、沢蟹をチョイスしました。

────ワインとの相性も抜群ですね。リードヴォーのねっとりした食感と脂の旨味を、より高めてくれます。しっかりとした飲みごたえのあるワインだからこそ、この料理の濃厚さとバランスが取れるのかもしれませんね。

湯澤:そうですね。さて、最後のメイン料理をどうぞ。「スズキの鱗焼き サザエとトウモロコシのリゾットとその肝のソース」です。サザエの殻の中に入っている肝のソースをかけて召し上がってください。

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────美味しい! ソースのほのかな苦味と、リゾットの甘味のバランスが絶妙です。

湯澤:このワインも、後味にほのかな苦味を感じるので相性が良いんです。リゾットは、トウモロコシとパルミジャーノチーズでシンプルに仕上げました。

────これからの時期、トウモロコシがどんどん美味しくなりますね! スズキも、ぷりぷりとした触感で食べごたえがあります。

湯澤:3、4日おいて身を落ち着かせてから鱗焼にしました。まずはリゾットとスズキだけで楽しんでいただき、そのあとソースをかけて、味わいを変えて食べていただくという楽しみ方もおすすめです。そうそう、今回のワインは「日本のモンラッシェ」と呼ばれているそうです。モンラッシェというのは、フランスブルゴーニュ地方産の辛口白ワインの銘柄の一つで、世界で最も偉大な白ワインとして知られています。今回の料理は、そう呼ばれるワインの風格にふさわしい、食べごたえのある料理をそろえてみました。

────こんなに豊かな味わいの白ワインが日本で造られているなんて驚きでした。今後、年を重ねるごとにさらに魅力的な味わいになっていくんでしょうね。

湯澤:そうですね。特別な日に、大切な方と一緒にじっくり味わっていただきたい一本です。

◎7月12日現在のアラカルトメニュー/日本ワインのリストはこちらから

アラカルトメニュー

>日本ワインのリスト(pdf)
白ワイン赤ワイン

CLASKA Restaurant "kiokuh"(キオク)

kiokuh

所在地:東京都目黒区中央町1-3-18 CLASKA 1階
Tel:03-3719-8123
営業時間:7:30〜23:30/営業時間の変更のお知らせはこちら
Breakfast/7:30〜11:30(L.O. 11:00)
Lunch/11:30〜15:00(L.O. 14:30)
Tea Time/15:00〜17:30(L.O. 17:00)
Dinner/18:00〜23:30
(コースL.O. 21:00、アラカルトL.O. 22:00、ドリンクL.O. 23:00)
*17:30〜18:00 はクローズします。
店内終日禁煙/テラス席は常時喫煙可/WiFi 無料/ペット同伴可(テラス席、一部ソファ席のみ)ペットシーツとリードをご持参ください
※ディナー時は別途サービス料(10%)を頂戴します。
WEB予約はこちらから

2019年7月12日公開
編集・取材・文:落合真林子(CLASKA)
撮影:速水真理(CLASKA)