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CLASKA Restaurant "kiokuh" シェフ 湯澤秀充の

今夜飲みたい日本ワイン、一緒に食べたいこの3皿

日本の四季折々の味覚を盛り込んだ軽やかで美しい
フレンチベースの料理を楽しめる CLASKA Restaurant "kiokuh"(キオク)。
季節ごとに変わるコース料理が好評ですが、実はアラカルトも精鋭揃い。
そして、ワインセラーにはマニア垂涎の日本ワインがずらり。
本連載では、毎回1本の日本ワインをチョイスし、
共に味わいたいアラカルト料理3品を
アミューズ・前菜・メインのコース仕立てで紹介。
kiokuh のツウな楽しみ方、提案します。

 

第8回:安曇野発・強くて優しい、辛口赤ワイン。

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今回のワイン

「安曇野リザーブ 2015」 (安曇野ワイナリー)/長野

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Profile
CLASKA Restaurant "kiokuh" シェフ
湯澤秀充(ゆざわ・ひでみつ)


1981年東京都生まれ。料理学校を卒業後、都内でフランス料理とスペイン料理を学び26歳で単身渡仏。ミシュラン1つ星 "Le Jardin des Remparts" にて外国人初となる肉料理のセクションシェフを務める傍ら、デザートやパンなども手掛ける。2年間をブルゴーニュ地方で過ごした後帰国。ミシュラン2つ星の銀座 "Beige Alain Ducasse Tokyo" を経て CLASKA 料理長に就任。2016年、料理人コンペティション「RED U-35」にてシルバーエッグ入選。

CLASKA Restaurant "kiokuh"

シェフ 湯澤秀充による、日本の四季折々の味覚を盛り込んだフレンチベースの軽やかで美しいお料理をご提供します。毎朝7:30からのブレックファストに始まりディナータイムまで、時間帯に応じたメニューをご用意。コースメニューは、全7品6,000円+税、全5品のライトコース(4,000円+税)も。

今回の料理

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アミューズ:「アサリと発酵パプリカのカナッペ」/1000円+税/(1piece 500円+税)

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前菜:「スッポンのがんもどきとそのコンソメ」/1200円+税

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メイン:「大山鶏のムースと詰めた虹鱒 ポルチーニとヴァン・ジョーヌ」/2200円+税

※写真はすべて2名分となります。

ワインが料理を高め、料理がワインを高める。

────今回は、長野県は「安曇野ワイナリー」の赤ワインです。湯澤シェフは、安曇野にご縁があるそうですね?

湯澤:そうですね。母方の祖父母が住んでいたので、子どもの頃、夏休みなどまとまった休みの時には両親と一緒に良く遊びに行っていました。安曇野は山々に囲まれて日当たりがよく、寒暖の差が大きい場所。そして水はけが良い土地なので、ブドウづくりに適しているんですよね。「安曇野ワイナリー」も、自社畑でのブドウ栽培に力を入れているそうです。

────今回紹介するワイン「安曇野リザーブ2015」も、自社畑で栽培したメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを使用したものですね。どんな味わいのワインなのでしょう?

湯澤:ブレンド後、19か月樽熟成させて仕上げたというだけあって、樽香(ブドウを発酵・熟成させる過程で使う木樽に由来する香り)がとても印象的です。いわゆるミディアム〜フルボディにカテゴライズできる、辛口の赤ワインですね。

────しっかりした赤ワインをご紹介するのは、この連載としては初かもしれませんね。

湯澤:そうですね。ただ、優しさや柔らかさも感じさせるので、重すぎず、食事に合わせやすいワインだと思います。チョコレートやカカオ、あるいは熟したプルーンのような濃厚な果実味が感じられることも特徴ですね。

────お料理と一緒にいただくのが楽しみです。さて、一皿目のアミューズは何でしょうか?

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湯澤:「アサリと発酵パプリカのカナッペ」です。「豚とアサリのアレンテージョ風」というポルトガル料理があるのですが、それをヒントにつくった料理なんですよ。豚肉とアサリをソテーして、そこに塩漬けにしたパプリカを発酵させてつくった「マッサ・デ・ピメンタオン(通称:マッサ)」と呼ばれる伝統的な調味料を加えてつくる伝統的な大皿料理なのですが、その料理を一口で食べるイメージで仕上げた一品です。

────いただきます。……美味しい! パプリカのソース、味わい深いですね。アサリと良く合います。

湯澤:サラダに入っている、生のパプリカとはだいぶ印象が違うでしょう。加熱したり発酵させたり、手を加えると違った味わいが顔を出すのが面白いですね。

────パンはライ麦パンでしょうか? ほろ苦いトースト香が、ワインと良く合います。

湯澤:実はその「トースト香」が、今回のワインとの相性を語る上でポイントになってきます。先ほど、“樽香が印象的なワイン”という風にご紹介しましたが、その樽香を表現するキーワードとしてよく挙げられるものの一つが、トースト香なんですよね。

────なるほど。だからしっくりくるんですね。上にのっている生ハムも、濃厚な味わいで……。ついついワインが進みそうです。

湯澤:生ハムは、イタリアの高級生ハムの生産地として知られるサン・ダニエーレのものです。旨味がしっかりと感じられる料理なので、今回のワインくらい存在感があるものと楽しんでいただきたいですね。

────なんとも贅沢なアミューズでした。さて、次の前菜は何でしょうか?

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湯澤:「スッポンのがんもどきとそのコンソメ」です。

────え、スッポンですか! 

湯澤:はい。普段馴染みのない食材だと思いますが(笑)。まずは召し上がってみてください。

────いただきます。……あ、思ったほどクセがないですね。ちょっと身構えて食べたのですが。

湯澤:そうですよね。がんもどきは、豆腐と山芋でベースをつくり、そこに鼈の身と血液を混ぜ、卵を加えてふわふわに仕上げました。

────臭みもまったくないです。どこか、鶏肉に似た味わいですね。

湯澤:そうかもしれませんね。旨味の強い鶏肉、という感じでしょうか。今回、ほぼすべての部位を使っていますが、エンペラ(ヒレ)はゼラチン質を多く含んでいるので、コリコリとした歯ごたえが特徴です。

────先ほどのアミューズ同様、とても旨味のある料理ですね。ワインともよく合います。

湯澤:前々回で紹介した「ブーダンノワールとリンゴの春巻き」を覚えていますか? あの料理に使ったブーダンノワール(豚の血液を使ってつくるソーセージ)に代表されるように、フレンチの世界では、材料の一つとして血液を使う伝統的な料理がいくつかあるんですが……。

────ブーダンノワールを使った春巻き、意外にクセがなく美味しかったのを覚えています。

湯澤:はい。ブータンノワールと今回のがんもどきに共通することなのですが、血液を使うことで、どこかチョコレートのような味わいを感じさせる仕上がりになるんです。最初に触れたとおり、今回のワインはチョコレートやカカオのような味わいを感じるので、うまくリンクするのでは? と思い、この料理を選びました。

────このコンソメスープも濃厚ですね。まさに、旨味の塊。トロトロで美肌効果もありそうな……(笑)。

湯澤:鶏のブイヨンに鼈の甲羅や骨を入れて出汁をとり、そこに鼈の身を入れてさらに煮て……。その後身は取り除き、最終的には野菜を加えて仕上げています。

────実に印象的な一皿でした。さて、最後のメイン料理は何でしょうか?

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湯澤:「大山鶏のムースと詰めた虹鱒 ポルチーニとヴァン・ジョーヌ」です。

────いただきます。……虹鱒の中に、ふわふわのムースが! 手が込んでいますね。

湯澤:「クネル」という、伝統的なリヨン(フランス)料理をご存じですか? 主にカワカマスという川魚のすり身をオーブンで焼いた料理で、“クネル”というのは、和訳すると“つみれ団子“という意味です。これはその料理をヒントに考案した一皿で、キオク流“クネル”を虹鱒の中に詰めてみました。

────虹鱒の身のきめ細やかさと鶏のムースのふわふわ感がマッチしていて……。もちろん鶏と鱒なので味わいこそ異なりますが、食感に関しては、別の素材であるということを感じさせない一体感ですね。

湯澤:先ほどお話した“クネル”の場合は、生地を作るときに「パナード」と呼ばれる小麦粉と卵やバターで作った繋ぎ材料を混ぜるのですが、そうすると生地の弾力が強くなるため、虹鱒の身の食感とチグハグになってしまう。先ほどおっしゃった“一体感”を出したかったので、鶏と卵と生クリームだけでムースを作りました。

────ソースも濃厚で美味しいです。「ヴァンジョーヌ」というのは何ですか?

湯澤:ジュラ地方のワインです。ソテーしたポルチーニに少量のニンニクとヴァンジョーヌを加えて煮詰め、そこに大山鶏の出汁を加えてさらに煮て、仕上げに生クリームを加えました。仕上げに、すりおろしたヘーゼルナッツを振りかけています。

────虹鱒と大山鶏のムースが、旨味がありつつもあっさりした味わいなので、ソースとのバランスがいいですね。ワインも主張しずぎない重さなので、本当によく合います。今回の3皿に共通するキーワードは「旨味の強さ」でしたが、料理が変わるごとに今回のワインのポテンシャルの高さを実感しました。それぞれがお互いを高めあう感じで。

湯澤:季節や気候的に、しっかりした赤ワインから足が遠のく季節かもしれませんが、今回の3皿のように旨味をぎゅっと感じる料理には、やはりこの手のワインが欲しくなりますよね。最初にも触れましたが、存在感がありつつも優しさを感じさせる絶妙なバランスのワインです。ぜひ、試してみてください!

◎6月28日現在のアラカルトメニュー/日本ワインのリストはこちらから

アラカルトメニュー

>日本ワインのリスト(pdf)
白ワイン赤ワイン

CLASKA Restaurant "kiokuh"(キオク)

kiokuh

所在地:東京都目黒区中央町1-3-18 CLASKA 1階
Tel:03-3719-8123
営業時間:7:30〜23:30/営業時間の変更のお知らせはこちら
Breakfast/7:30〜11:30(L.O. 11:00)
Lunch/11:30〜15:00(L.O. 14:30)
Tea Time/15:00〜17:30(L.O. 17:00)
Dinner/18:00〜23:30
(コースL.O. 21:00、アラカルトL.O. 22:00、ドリンクL.O. 23:00)
*17:30〜18:00 はクローズします。
店内終日禁煙/テラス席は常時喫煙可/WiFi 無料/ペット同伴可(テラス席、一部ソファ席のみ)ペットシーツとリードをご持参ください
※ディナー時は別途サービス料(10%)を頂戴します。
WEB予約はこちらから

2019年6月28日公開
編集・取材・文:落合真林子(CLASKA)
撮影:速水真理(CLASKA)