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コラージュ・題字:堀井和子

堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」

堀井和子さんが日々の暮らしや街歩きの中で見つけた、いいもの、美しいものを報告してくださる連載です。今回は、秋へと向かう心の彩りを写して送ってくださいました。

第6回:装幀に魅かれて、絵を買うように選んだ本

「モロッコ革の本」は3ヶ月前、古書店で、ふと手に取りました。

ブックデザイナーの栃折久美子さんが、手作りの製本術を学んだ、ベルギーでの留学生活を綴ったエッセイの本で、栃折さんご自身が、本の装幀・挿図をなさっています。1975年の版で、表紙カバーは、だいぶ茶色がかってきていますが、とても大事に読まれた本のように感じました。

表紙カバーは、製本工程や道具のイラストと手描きの説明文が、白地にカーキ色(フランスの伝統色 DIC-F172に近い色)で、タイトルは渋めの赤、著者名は濃紺を微かに含んだ黒で印刷されています。緑の強いカーキ色ではなく、黄色がかった軽やかな褐色の何とも言えないトーンに、はっとしました。

カーキ色の線画と文字に、ものすごく魅きつけられてしまって、この一冊を買い求めました。

本の装幀の仕事に興味があって、古書店へ入ると、初めは目がチカチカして、自分とは縁遠い空間に思えるのに、いつのまにか夢中で自分の「好き」に従って本を探しています。希少価値やデータ的なことは頭に入っていなくて、表紙カバーや挿絵、写真などのデザインを無心に見ていくことが多いです。今回のエッセイの本は、どれも読み心地が格別ですが、文章のタッチを伝える装幀にまた心が躍ってしまいます。

「Salers」は南仏カンタル地方の村の産物と風景を紹介する小冊子です。練辛子の黄色の表紙カバーに、チーズを持った職人さんの写真が小さく入って、タイトルなどは白、縦長のプロポーションもシックでお洒落な印象です。

「飲み食ひの話」は芹沢銈介さんの装幀。シンプルな台形のパターンですが、この3色の取り合わせに、心を奪われました。ずっと眺めていたくなる本だと思います。

「レニングラードの雀」は庄野英二さんの画文集で、中の挿絵も、別丁のカラーの絵も、のびやかで素敵です。濃くいれたアッサムのミルクティーみたいな茶色の地に白の線画の箱、爽やかな空色の布張りの表紙に何とも言えない雰囲気があります。

古い本は、紙質もインクの色も、素直に胸にやってくる力があるのかなぁと考えながら、絵の作品を買うように選んでしまいます。


堀井和子

堀井和子さん プロフィール

1954年、東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家としてレシピ本や、自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍、国内外の旅のエッセイなどを多数出版。2010年に「1丁目ほりい事務所」を立ち上げ、CLASKA Gallery & Shop “DO” と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行なっている。
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2016年8月19日 公開