榊麻美植物研究所「盆栽とつむぐ暮らし」

身近で素朴な山野草や雑草と呼ばれる草、樹木の美しさを伝える活動をしている榊麻美植物研究所の榊さんから、盆栽と暮らす日常の愉しみを教わります。

第3回:支度をはじめている植物達

暦の上では「立秋」を過ぎ、まだまだ蒸し暑いとはいえ、とんぼの姿や夜の虫の声に秋の気配を感じるようになりました。今日は、ツクツクボウシの鳴き声も。

夏の暑さが増し異常気象と言われるようになっても、ふと暦のことを思い出し、虫や植物の動きを敏感に感じていると、季節が巡る速度はそれほど変わらないのだなぁと思い、少し安心します。

庭や近くの緑道、公園の植物達を観察していると、シタン・西洋カマツカ・栗や野葡萄・イヌビワなど秋に実をつける植物達が、花後からプクプクと実を膨らませ、秋への準備を始めています。

盆栽
盆栽

ほかにも、目には見えないけれど来年の春に向けて準備をしているのが桜やレンギョウ・梅・木瓜・ツツジなど、春に花を咲かせる植物達。

これらの植物達は、早ければ6月頃から来年の花をつけるための準備(花芽分化)を始めているのです。ですので、この時期になんらかの要因があると来年の花つきに影響してしまうと言われています。

盆栽

要因には、日照不足であったり雨が多すぎるなどの気象的なこと以外に、「芽摘み」と言って、形を整えるためにこまめに新しい枝葉を切る作業をこの「花芽分化の時期」に行ってしまうという人為的なことがあります。準備していたお花の芽をうっかり落として、「あれー、今年は花が咲かないな・・・」なんていう結果になってしまうことも。

花芽分化の時期については植物により様々ですが、早春から5月頃までに花を楽しめるものに関しては、遅くとも7月頃までには剪定や芽摘みを終えておくと良いように思います。

とはいえ、今年の東京は、そもそも晴れの日が少なく日照不足が心配なところ・・・。

8月の後半は、夏らしくスカッと晴れた天気が増えることを願うばかりです。

榊 麻美


1980年 静岡県生まれ。アパレル業を経て、塩津丈洋氏に師事し植物の世界へ。2016年春、独立。榊麻美植物研究所を立ち上げる。
sakakiasami.com

*2017年9月14日(木)〜10月2日(月)、CLASKA Gallery & Shop "DO" 日本橋店(コレド室町3 2F)で榊麻美植物研究所展「朝露宿る」開催。9月18日(月祝)・24日(日) 盆栽ワークショップ 参加ご予約受付中。満員につき受付終了しました。

榊麻美植物研究所

2017年8月15日 公開